
公開:2023年10月31日
東京メトロにて絶賛配布中の新しいフリーペーパー「AlkuTokyo(アルクトーキョー)」。
Webページでもオリジナル連載として書店巡りをスタート。第6回は 南北線・東大前駅から徒歩6分、本郷通りから根津裏門坂に入り少し進んだ場所にあるかわいい書店『本の店 & company』さんを紹介します。
これまで書店勤務の経験が無かった店主の奮闘や、地域の人とのやさしい繋がりで、オープンから間もなく、ひっきりなしに人が訪れるようになったお店の様子に興味が湧きます。
2023年9月にオープンしたばかりの新刊書店

東京メトロ南北線・東大前駅は、東京大学・弥生キャンパスに直結し、文豪縁の地としても有名なエリアです。
少し東に歩けば、レトロな商店街が人気の谷根千エリアもすぐそこ。
今回、ご登場いただく『本の店 & company』さんは、2023年の9月にオープンしたばかりということで、創業に至った経緯や将来について、店主の末竹京子さんに伺ってみました。


ーーこんにちは! よろしくお願いいたします。今回は色々とお聞きしたいと思います。
末竹さん「本日はありがとうございます。まだ9月9日のオープンから2ヶ月も経っていないのですが、色々なところから聞きつけてくださって、周辺にお住まいの方や、書店を営んでいる方など、本当に多くの方にご来店いただいています。もう少しジワジワと増えていくものかと思っていましたが、予想していた以上にご来店いただいています」。
ーーそういう情報って、どうやって浸透していくんでしょうね?
末竹さん「本当に不思議ですよね。X(旧Twitter)のアカウントを作りましたが、だからといってご来店いただけるわけではないですし。このテナントを借りて、内装工事をしているときに扉に張り紙をしていましたが、近所の人はちゃんと見てくださっていたみたいですね。ありがたいことです。近くの谷根千エリアには個人書店も多くて、気にかけて声をかけてくださる方もいました」。
ーーオープン前から、ちゃんと情報は伝わっていたんですね。最初からこのエリアに出店しようと思っていたんですか?
末竹さん「最初は、違うエリアで探していたのですが、なかなか上手くいきませんでした。たまたま、この通りを歩いていて、このお店を見つけてピンと来たんです。『ここを借りよう!』と、すぐに不動産屋さんに電話しました。本屋さんで南向きの店は日焼けの心配があるため珍しいのですが、そこは工夫しようと。
不動産屋さんからも最後まで『本当にここで良いんですか?』と確認されました(笑)。内装は自分たちで行いました。この夏は本当に暑くて、熱中症になりかけながら壁を塗っていました(笑)」。

『本の店 & company』と名付けた由来は?

ーー店名の「本の店 & company」って変わった名称だなと感じました。どんないきさつがあって、この名称にしたのですか?
末竹さん「パリのセーヌ川近くに、『シェイクスピア・アンド・カンパニー』という有名な本屋さんがあって、そこではさまざまな人が出入りしていて、宿泊施設や図書館、出版も行われていたそうです。私のお店もそういう人が集まる場所になれれば良いな、という思いで名付けました」。
ーー素敵ですね! まだ開店から間もないですが将来的にはそういう取り組みも?
末竹さん「まずは読書会などのイベントができるようになれればと思っています。そんなに広いお店ではないので、たくさんの人は入れないんですけど」。

未経験で書店オープン。勢いが重要だったと振り返る
ーーそもそも本屋さんを作ろうと思ったキッカケは何だったのですか?
末竹さん「もともと書店員の経験はありませんでした。
これまで美術系の専門学校の広報職を経て、一時は専業主婦のときも。これからの事を考えて自分の好きなことをしようと国立図書館の公募に応募し、仕事をしながら資格をとりました。その後、大学や私立中高の図書館に20数年勤め、定年退職を迎えたのがこの3月でした。
『このまま終わるのはもったいない』と思い模索する中で、宇田智子さんの『本屋になりたい』という本と出会い、私も本屋をやってみようと思ったんです。家族も応援してくれましたし、そこから怒涛の準備の日々が始まりました」。
ーーそこから最初の物件探しの話に繋がるわけですね。仕入れの方法などはどうやって調べたのですか?
末竹さん「辻山良雄さんの『本屋、はじめました』を読み、より具体的に考えました。実際の行い方は自分で調べていきました。この2冊(下写真)はすべての始まりです。春の定年退職からですから、準備から開店まで半年くらいでしたね」。
ーーものすごいスピード感ですね。晴れてオープンされましたが、どのようなジャンルの本を取り扱っていますか?
末竹さん「国内外の文学、歴史、哲学、言語から生活の仕方、料理、建築などなど狭い店ですができるだけ幅広く置いてます。水俣病や戦争、ジェンダー、そして本に関する棚も用意しています。まだまだ増やしていく予定なので、面陳列は難しくなるかもしれませんね」。

開業にあたり読んだ(出会った)本



お店の中央に円形のテーブル
店主の末竹さんがオススメしたい3選
では、ここで末竹さんが今推したい本の紹介をしていただきましょう。

左から
「わたしのペンは鳥の翼」アフガニスタンの女性作家たち 著 小学館
「ドミトリーともきんす」高野 文子 著 中央公論新社
「ミ・ト・ン」小川 糸 著 平澤 まり子 イラスト 幻冬舎
末竹さん「『わたしのペンは鳥の翼』は、アフガニスタンの18人の女性作家が、息を潜めて生きる現実を、文学で描いています。彼女たちが現実を描き感情を表すことが、どれだけ勇気のいる行為であるかを忘れてはいけないと思います。
『ドミトリーともきんす』は学生寮『ともきんす』を舞台に下宿する科学専攻の学生4人と寮母のとも子さん母娘の日常が描かれています。著名な科学者の若かりし日を”想定”して描かれていて、後の研究に繋がる言葉や出来事が描かれていて、科学が苦手な方でも物語として楽しめる一冊になっています。
最後の『ミ・ト・ン』は、ラトビア共和国をモデルにした架空の国が舞台です。目に見えない神様が服や手袋に記される設定で、主人公の一生がときに優しく、ときに厳しく切なく語られています」。
お店周辺〜東大駅前エリアのオススメショップ
最後に、末竹さんより近隣のお気に入りスポットを教えていただきました!
和菓子司 一炉庵

末竹さん「書店がオープンしたときから、気にかけてくださり仲良くさせていただいてます。創業明治36年で漱石さんも贔屓にされていたとか。どのお菓子も丁寧に作られていて本当に美味しいです」。
【和菓子司 一炉庵】
住所:東京都文京区向丘2-14-9
TEL:03-3823-1365
営業時間:9:00〜18:00(品物渡しは17:00まで)※土日祝は17:00まで
定休日:火曜日
URL:https://www.wagashi.or.jp/tokyo_link/shop/1110.htm
※現金のみ
BLUE REVERB

末竹さん「台湾カフェで、おいしいお茶やスイーツが並び、食事もできます。どのメニューも美味しくて。シンプルな店内も素敵で大好きなお店です」。
【BLUE REVERB】
住所:東京都文京区向丘2-14-9
TEL:03-5832-9936
営業時間:9:00〜18:15 (火曜日は10:00〜、水曜日は〜16:00)
定休日:月曜日
ロールキャベツファクトリー

末竹さん「ロールキャベツ専門店というのは珍しいなと思います。ランチからディナータイム、どの時間帯でもオススメです。メニューも豊富でとろとろのロールキャベツが味わえます。店主のお人柄もステキなので、ぜひ皆さんにいっていただきたいです」。
【ロールキャベツファクトリー】
住所:東京都文京区向丘2-8
TEL:080-4872-0158
営業時間:11:30~14:00 17:00~22:00 (※日曜日は〜21:00)
定休日:月曜日
谷根千散策から足を伸ばして東大前エリアへ

今回、紹介した『本の店 & company』さん、根津駅など谷根千エリアからも近く、このエリアの本屋さんをハシゴするときは、ぜひルートに入れていただきたいと思います。
根津神社など、スポットも多く起伏に富んだエリアですので、歩きやすいシューズを選んで行くことをオススメします!
店舗情報

【本の店 & company】
住所 東京都文京区向丘2-15-16
TEL 03-5842-1803
営業時間 10:00〜18:00 (土日祝は17:30まで)
定休日 火曜日 第三水曜日
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ライター

AlkuTokyo編集部
東京メトロで発行するフリーペーパー『Alku Tokyo』、WEBサイト『AlkuTokyo.Web』の編集部です。毎日、東京をおもしろく駆け回っています。
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