最終更新:2023年11月30日
本の街として知られる神保町。大小さまざまなスタイルの書店が立ち並ぶ中、2023年8月に移転リニューアルオープンした「BOOK SHOP 無用之用」さん。
店内を見回すと、書棚ゾーンの奥にバーカウンタースペースが広がり、カフェやバーとして利用する人も多いのだとか。さらに近所のテイクアウトを持ち込みランチをする人、つまみを持ち込みお酒を楽しむ人など、聞けば聞くほど書店の概念にとらわれない自由なお店でした。
店名の「無用之用」に込められた老子の「一見無駄に見えるものも、後に豊かなことであることに気が付く(意訳)」をどのように展開していこうと進めているのかを聞いてみました。
同じ通り沿いの前店舗から移転した「BOOK SHOP 無用之用」
2023年の8月に、神田すずらん通り沿いのビルの2階に移転してきた「BOOK SHOP 無用之用」さん。
通り沿いから店舗の窓が見えますが、入口は建物の裏手になります。
ではドアを開けて階段を上っていきましょう。
お店に入って、最初に気付いたのが書棚に差し込まれた黒い札のようなもの。
よく見るとフレーズが書いてあり、その時の気分に合うようなジャンルレスな選書がされていました。
ここで店主にご登場いただきましょう!
ーーこんにちは! よろしくお願いいたします。
片山さん「今回はありがとうございます。ゆっくりしていってくださいね」
ーー8月にこちらがオープンしたとのことですが、近所から移転されたんですね。
片山さん「2020年に、すぐ近所でオープンしましたが、そこは共同創業者との事業でした。今回の移転を機に、自分たちで独立したお店にしました。この1年準備でとても忙しかったのですが、周りの方たちに助けていただいた感じです。
神保町は本の街と言われますが、何より人が温かくて居心地が良いエリアです。
自宅も近くに引っ越すほど神保町が好きなんです」。
ーーそれは凄いですね。自分に合う土地を見つけるってなかなか難しい気もします。
稲垣さん「ご存知の通り、同業者も多く大変そうと思われるかもしれないんですが、『その本ならあのお店に行くと良いよ』とか、お客さんを紹介するような空気もあって、温かいですね」。
ーー1度売った本は販売しないとお聞きしました。
片山さん「そうですね。例外はありますが、一度販売した本はなるべく置かないということを決めて営業しています。
当店の売場の半分ほどは、お客さんに選書をお願いしているんです。様々な方に参加いただいているので、ジャンルも幅広いと思います」。
ーーそのときの気分で読みたいものが探しやすいですね!
稲垣さん「はい、バラエティに富んでいるラインアップだと思いますので、自分の感性に合う書棚を見つけてみてほしいですね!」。
自由に過ごすことができるカフェバー空間
ーー完全にオシャレなカフェという雰囲気ですね。
片山さん「ありがとうございます。昼はカフェとして、夜はバーとして利用していただけます。土地柄もあってか、出版関連の方も多いですね。近所の方が朝から夜までいるときもありますよ(笑)」。
ーーそんなに長居しても大丈夫なんですか?
片山さん「はい、大丈夫ですよ。当店はドリンクとちょっとしたフードを提供していますが、月に1回程度、鍋やたこ焼きをみんなで食べる飲食イベントをする日もあって長時間仕込みをしているときもあります。最近は展示や物販のイベントも開催しています。
あと、お客さんが昔のおもちゃなどのアイテムを置いて行ってくれるので、他のお客さんが懐かしがって遊んだりします。お互いの身の上は明かさずこの場で親しくなる場面を何度も見ていて、良いなって」。
ーーたしかに居心地が良いですよね。長時間いたくなる気持ちがわかります。
稲垣さん「眼の前の三省堂書店の本社ビルが建替え工事をしているので、今だけ靖国通りが見えるんですよ」。
ーーそれは貴重なタイミングですね!
神保町を好きになってくれたら
ーー本の街で書店を新規オープンさせるのは、大変ではなかったですか?
片山さん「同業他社とバチバチなライバル、みたいな感じではないんですよ。困っていると助けてくれたり、アドバイスしてくださいます。街に住まう人も街に来られるお客さんもとにかく 穏やかで面白い人が多いと感じます。良い人が集まっている街なので自宅もこちらにしました。大変だったのは開店準備の期間がもう少しあればな、くらいですね」。
ーーなるほど、新規参入的なプレッシャーはなかったんですね。
稲垣さん「開店する前もしてからも、本屋さんに限らず、周りのお店の人が何かと気にかけてくれて、ありがたいですね」。
ーーなんだか自分も住みたくなってきました(笑)
店主オススメ選書
ここでお二人に今推したい本を聞いてみました!
左から
「ぼくの伯父さん」伊丹十三 著(つるとはな)
片山さん「子供の頃から、伊丹十三さんのファンで。なにかわからないんだけど感覚的にカッコいいと感じさせてくれる文章で、中学生の頃はこの本の他にも読みまくりました。一度売った本は仕入れないと言いましたが、唯一の例外として、伊丹さんの本だけは何度も仕入れています。若い人に読んでほしいですね」。
「観察の練習」菅俊一 著(NUMABOOKS)
稲垣さん「この本は写真が1枚あって、それについて気づきを得ていく本で、なかなか日常の中では気付かないような風景だったり出来事に対して、見方が深くなる感覚があり、見慣れた世界が拡張していくような本だと思います。サイズも持ち歩きしやすいので移動中にパラパラっと数ページ読んだりするのも良いかもしれません」。
店主お気に入りの神保町厳選スポット
魅力的な街であることは間違いありませんが、店主にお気に入りの周辺スポットをお聞きしたところ、「僕はここが好きなんです」と教えてくれました。
しゃれこうべ
片山さん「しゃれこうべさんはバーなのですが、現在は3代目となる女性の方がマスターをされています。よく通っています。マスターもきさくな方で本当に居心地が良いです。みなさんぜひ立ち寄ってみてください。
うちの無用之用も居心地の良さを目指していますが、神保町はこういうお店もけっこうあるんですよ。本の街としてだけではもったいない魅力がある街です。お昼は喫茶営業もしています」。
【しゃれこうべ】
住所:東京都千代田区神田神保町2-12-12 冬至ビル
TEL:03-3262-2740
営業時間:11:00~14:00 19:00~23:00
定休日:土日祝
これからの無用之用
ーーまだオープンしたばかりといえますが、これからお店をどんな展開をしていこうと考えていますか?
稲垣さん「こんなことをやりたい、というお客さんの声をもとにイベントや展示などをやっていきたいと思っています。また、街の人と神保町を楽しむイベントもやりたいですね」。
片山さん「私の弟がりんごを販売しているんですけど、そのりんごを入れる箱を磨いて書棚にしています。内側を滑らかに削るのが大変でした(笑)。棚も増やして、もっとお客さんの選書だなを増やしたりしてジャンル豊かな棚にしていきたいですね」。
ーーそもそもですが、気になる本をカフェスペースで試し読みしても良いんですか?
稲垣さん「もちろんです! とにかくゆっくりした空間を提供できればと思っていますのでフラッと立ち寄ってくれるのがいちばんうれしいですね。アルク読者のみなさん、お待ちしております」。
ーーありがとうございました!
店舗情報
【BOOK SHOP 無用之用】
住所 千代田区神田神保町1-21-2 一和多ビル2F
営業時間 14:00〜20:00
定休日 月曜日 第1日曜日
公式サイト https://muyobooks.studio.site/
公式SNS https://twitter.com/muyobooks https://www.instagram.com/bookshop.muyonoyo/
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AlkuTokyo編集部
東京メトロで発行するフリーペーパー『Alku Tokyo』、WEBサイト『AlkuTokyo.Web』の編集部です。毎日、東京をおもしろく駆け回っています。
- 本記事内の情報に関して
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※本記事内の情報は2023年11月30日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事は2023年11月30日に公開した内容を一部加筆・修正した上で、2023年11月30日に再公開しております。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。