公開:2024年01月25日
1993年の創業から30年が経過した中野の「TACO ché(タコシェ)」さん。中野ブロードウェイの3階にあるということで、マニアックな印象を持たれる方も多いかもしれません。
「自分が読みたい本が置いてあるのだろうか?」と思われるかもしれませんが、そこはご安心ください。
そんな心配も吹き飛ぶほどの品揃えで出迎えてくれます。一般流通しない自主制作本やZINEを中心に(新刊もあります)、新しい世界の扉を開いてくれる空間であることは間違いありません。
中野ブロードウェイの直通エスカレーターをのぼっていく
東京メトロ東西線の中野駅北口からまっすぐブロードウェイに向かいます。
直通エスカレーターで3階に着いたら、そのままブロードウェイ通りを奥まで進みましょう。するとタコシェさんが見えてきます。
所狭しと並んだ本の数々。文芸から生活の知恵、旅行記から建築本と幅広いジャンルで出迎えてくれるタコシェさん。
ただ、やはり独特な老舗の雰囲気。どんどん奥に入ってみたくなるような魅力がこの空間にはあります。
著名な作家の本が並ぶコーナーも「こんなタイトルあったっけ?」と感じることもありましたが、なんと一般流通していない自主制作の作品も混じって並んでいます。
そんな作家たちとの長年のコミュニケーションを密にしてきた歴史の空気が充満していました。
ガロのアンテナショップから自主制作本の世界が広がる
では、店主の中山亜弓さんにお話を伺います。
ーーよろしくお願いいたします! 恥ずかしながらブロードウェイの3階にこんなに長い歴史のある書店の存在を知りませんでした。
中山さん「1993年に『月刊漫画ガロ』のアンテナショップを始めたのがきっかけなんですが、この場所に移転してきたのは1995年ですね。アンテナショップ自体はそれほど長く続かなかったのですが、漫画家さんのグッズや原画など付加価値のあるものを取り扱っていましたね。
今はコミックマーケットやインターネットのおかげで、作家さん自身で作品を届けられる仕組みも充実していますが、当時はなかなかそういうことを知る機会も少なかったと思います。そうしていく中で自主制作本の取り扱いが増えていって今のスタイルになっていますね」。
ーー店内を見回すと、一般に流通している商業出版をされている作家さんのタイトルも並んでいますが、明らかに自主制作であることがわかる装丁の作品もたくさん見られますね。
中山さん「そうですね、商業出版の本を出しつつ、自分の自由な作品を販売している作家さんもたくさんおられます。30年という時間で多くの作家さんと繋がることができました。長く愛される作品もあります」。
ーーオンラインショップも展開されていますが、店舗の在庫と同じなのですか?
中山さん「商品展開は店頭とまったく同じではありません。特に発行部数の少ない希少な自主制作本などは、印刷が特殊だったりするので店頭で直に見て買ってほしいという気持ちがあります」。
ーーたしかにZINEなど自主制作本のパッケージや装丁を見ると「本当に自主制作なの?」というくらい美しい作品が多いですね。
中山さん「自分の世界を大切にされていて、かつ喜んでほしいという気持ちが伝わってきますよね。凝った印刷が身近になった時代というのも影響していると思います」。
長年取り組んできた独自のサービスが話題に
お店の一角で、茶封筒に一行だけタイトルが印刷されたものを発見しました。こちらは一体何なのでしょう?
中山さん「こちらは2012年から続いている『何者からかの手紙』という創作です。もう10年を超えましたね。封筒の中にはわら半紙4〜5枚で完結する手紙が封入されていて、1話完結の物語というかメッセージが書いてあります。
今では70種類ほどの『〇〇からの手紙』があり、165円で販売中です。ちなみに誰が書いているかは秘密なんです」。
筆者も1部購入させていただき、封を切って読んでみましたが、読み手に話しかけてくるような、正に”手紙”を読んでいる感覚になりました。ランダムで選べるのも楽しいと思います。
今推したい店主おすすめ選書
ここで中山さんに今推したい本をセレクトしていただきました!
左から
「LOCKET」第6号
中山さん「こちらの『LOCKET』さんは年に1冊ペースくらいの発行ペースなのですが、毎号一つのテーマを決めて世界中を巡って掘り下げていくのが楽しいです。今回は”スキー”がテーマなのですが、雪が少ない地域で楽しむ海外の人達の様子などが情報量多めで掲載されています」。
「ウオヒレヒロ子の素敵なウオヒレの世界」
中山さん「こちらは銀座のお寿司屋の女将さんが作られた小さい本ですが、内容がとても濃いです。昼間はお寿司屋さんの仕込みをしていく中で、捨てられる魚のヒレに着目し、それらを図鑑化したというマニアックですが美しい内容になっています」。
「日本の小屋 秋田県青森県増補版」文・写真 遠藤宏
中山さん「カメラマンの遠藤宏さんが、各地を歩いて撮りためた”小屋”の写真集です。小屋に惹かれて、仕事で出向いた先や、目星をつけて出かけた先で小屋を撮影してらっしゃいます。小屋なので住人はいませんが、持ち主さんがいらして建物や用途についてお話を聞けるケースもあるそうです」。
なんというか「自主制作」という言葉がもつ古く凝り固まったイメージが吹き飛んでしまうほどのラインナップでした。漠然と新しい知識を得たいときもタコシェさんを訪れると思いもよらぬ出会いがあることでしょう。
まだあります。
「ホンジュラスコーヒーマガジン Marcala」
中山さん「こちらは、著者がボランティアとして派遣されたホンジュラスで、住民の方たちと接するうちに、大部分がコーヒー産業に従事していることから、彼らの生活や支援を通じてコーヒー産業の実態を間近に見る機会を得て、人々を中心にレポートされています。現地のマップまで付いていて読んでいるとホンジュラスに行きたくなってきます(笑)」。
店主お気に入りの中野エリアのショップ
中山さんに中野エリアのお気に入りショップを教えていただきました。
中山さん「テイクアウト専門店のオサイオンさんは豆の種類が豊富で、私は軽めの種類をお願いすることが多いです。先日、珍しく深煎りに近い豆を頼んだときは、少し軽めに淹れるようにと奥さんがご主人にアドバイスしていたりして、心遣いが細やかなんです」。
【コーヒースタンド オサイオン】
住所:中野区中野505403 藤田ビル1F
営業時間:11:30~17:30
定休日:月曜日・隔週火曜日
公式SNS:https://www.instagram.com/coffeestandossaion/
まとめ 〜何度も行きたくなる宝探し感!
どの棚を見ても、興味深いタイトルが並ぶタコシェさん。マニアだけじゃなくフラッと立ち寄っても最高の本探しができると感じました。
新しい知識をインプットしたい方は、ぜひ訪れてみてくださいね!
本だけじゃなく、ストーリーの詰まったアイテムを見つける楽しさもありますよ!
店舗情報
【TACO ché タコシェ】
住所 中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
営業時間 12:00〜20:00
定休日 水曜日
公式サイト http://tacoche.com/
公式SNS https://twitter.com/tacoche https://www.facebook.com/tacoche/
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AlkuTokyo編集部
東京メトロで発行するフリーペーパー『Alku Tokyo』、WEBサイト『AlkuTokyo.Web』の編集部です。毎日、東京をおもしろく駆け回っています。
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※本記事内の情報は2024年01月25日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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