【パン屋さん連載 #07】フランスのバターを使った風味豊かなクロワッサンが人気「ル・コワンヴェール 神楽坂」

神楽坂といえば、飲食店がずらりと立ち並び、人の往来の途絶えない賑やかなエリア。

そんな喧騒から少し離れた場所にぽっかりと現れる閑静な一角に、パティスリー＆ブーランジェリー「Le Coin Vert (ル・コワンヴェール)神楽坂」はあります。

店名を和訳すると「緑の一角」。店を取り囲む植栽や、目の前にある若宮公園の青々とした木々は、まさに店名にピッタリの趣です。

「フランスの裏路地には、もしかするとこんなパン屋さんがあるのかもしれない」。そんな想像力を掻き立てられるようなおしゃれな外観に、心も躍ります。

こぢんまりとまとまったウッド調の店内は、芳醇なバターの香りでいっぱい。そんな中、パッと目を惹くのが、ショーケースの上のカラフルな縞模様のクロワッサンたちです。

最近メディアにも取り上げられ、話題になったこの美しいクロワッサン。ピスタチオ、フランボワーズ、ショコラ(各450円)、プレーン(400円)の4種類があります。なかでもピスタチオ、フランボワーズは人気だそう。

生地にもしっかりとソースが練り込まれ、中にはクリームがぎっしりです。ピスタチオは濃厚な甘味が、フランボワーズは爽やかな酸味が口いっぱいに広がり、パンと言うより贅沢なスイーツをいただいているよう。

見た目や味わいもさることながら、なにより存在感を放つのは、生地から漂ってくるバターの香りです。詳しく伺うと、日本では滅多に使われることのないフランス産のバターを使用しているとのこと。本場のクロワッサンを忠実に再現するためには、このバターが必要不可欠なんだそうです。

「Le Coin Vert神楽坂」のパティスリーシェフがパトリック・ルメルさんです。

フランス・ノルマンディー地方で生まれ育ったルメルさんは、16歳の頃パティシエとして修行を開始。拠点をパリへ移したのちに、世界的ブーランジェリー「メゾン・カイザー」のオープニングに携わりました。

製菓部門のエグゼクティブシェフを担当したのち2006年6月に来日。料理教室「ル・コルドン・ブルー」のパティシエ教授として活躍し、その後も講師として国内外を飛び回りました。そして2019年、晴れて神楽坂の地に「Le Coin Vert神楽坂」をオープンしたそうです。

「出店にこの土地を選んだのは、フランスを思い出させる雰囲気が気に入ったからです。オープンからようやく5年が経ちますが、少しずつ口コミが広がり、徐々にお客さまが増えていっているのはうれしいことですね」。

ルメルさんが目指すのは、フランス本場で食べられているパンの味。そのために、素材は厳選していると話します。

「当店のパンには、ノルマンディー産のフレンチバターを使用しています。その特徴は、くっきりと際立つ味と香り。日本国内で使用しているお店はほとんどないと思います。特にクロワッサンに関しては、美しいフォルムのものはどこにでも溢れていますが、香りはどこか物足りなく感じます」。

バター同様、小麦粉にもこだわりがあるそうで、フランス産小麦と国産小麦を配合し、パンの種類によって使い分けているそうです。とことんフランス流にこだわるルメルさんに、ノルマンディー地方ではどんなパンが人気なのか聞いてみました。

「基本的にはバゲットが主流で、日本人にとってのご飯と同じように、朝・昼・夜と食卓に並びます。私が好きな食べ方は、バターとジャムに合わせたり、コーヒーにディップしたりするやり方。美味しいので試してみてください」。

「Le Coin Vert神楽坂」の並びにある落ち着いた雰囲気の「神楽坂パルス・ギャラリー」。さまざまな美術展も行われているアートスポットです。

このお店では「Le Coin Vert神楽坂」で購入したパンを持ち込んで店内でいただくことができます。

1人につき1ドリンク注文制。パンとドリンクでゆったりと時間を過ごしたい方にはおすすめ。入店時に、ひとこと声を掛けてみてください。

最後にルメルさんがこれから挑戦したいことやメッセージを伺いました。

「身体に良い素材にとことんこだわりながら、フランス本場の美味しいパンを食べられるお店がここ『Le Coin Vert神楽坂』です。パンはもちろんのこと、ケーキや焼き菓子にも力を入れています。今後はさらに品数を増やして、お客さまにもっと喜んでもらえるお店にしていきたいと考えています。ご来店お待ちしています」。

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